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「飲むカスタードプリン」!?濃厚とろけるベトナム・ハノイ発の「エッグコーヒー(Cà phê trứng)」が世界のカフェでバズり中の理由

いつものカフェラテやドリップコーヒーに、少しだけマンネリを感じていませんか?「何か新しい刺激が欲しいけれど、奇抜すぎるのはちょっと…」そんな風に思っているあなたにこそ、ぜひ試していただきたい一杯があります。それが、ベトナム・ハノイ発祥の エッグコーヒー です。卵黄とコンデンスミルクで作る、ふわふわで濃厚なクリームを、ビターなコーヒーに浮かべた、まさに「飲むデザート」。その甘美な味わいは「飲むカスタードプリン」とも呼ばれ、近年、ロンドンやニューヨーク、ソウルの感度の高いカフェ好きの間で静かなブームを巻き起こしています。この記事では、伝統とモダンが融合したエッグコーヒーの魅力から、おうちで楽しめる本格レシピまで、そのすべてをご紹介します。

まるで飲むカスタードプリン!ベトナム生まれのエッグコーヒーとは?

エッグコーヒー、ベトナム語で「Cà phê trứng(カフェ・チュン)」とは、その名の通り、卵を使ったコーヒーのこと。しかし、ただ卵を混ぜただけの単純なものではありません。その正体は、卵黄と甘い **コンデンスミルク ** を、もったりとリボンのように垂れるくらいまで泡立てた、カスタードのようなクリームを、深く焙煎された濃厚な ベトナムコーヒー の上にたっぷりと乗せた、贅沢な一杯です。

スプーンですくうと、まず口に広がるのは、驚くほどなめらかでコクのあるクリームの甘さ。卵の生臭さは全くなく、バニラのような芳醇な香りが鼻を抜けます。そしてクリームの下から現れるのは、ガツンと力強い苦味と香りを持つコーヒー。この二つを一緒に口に運ぶと、甘さと苦さが絶妙に溶け合い、まるでティラミスやクレームブリュレのような、リッチな スイーツ感覚 の味わいが完成します。このユニークな体験こそが「飲むカスタードプリン」という愛称の所以です。

一般的に、温かいものと冷たい(アイス)バージョンの両方が提供されます。ホットはコーヒーの香りがより引き立ち、クリームが少しずつ溶けていく変化を楽しめます。一方、アイスはクリームの質感がしっかりと感じられ、暑い日には格別の美味しさです。どちらも、まずはクリームだけ、次にコーヒーだけ、そして最後にかき混ぜて、と三段階で味わうのがおすすめです。

戦後ハノイの知恵から生まれた「奇跡の甘美なマリアージュ」その歴史

この独創的なエッグコーヒーが生まれた背景には、ベトナムの歴史が深く関わっています。その誕生は1940年代後半、第一次インドシナ戦争下の ハノイ に遡ります。当時、牛乳は非常に高価で、入手困難な品でした。

この状況で、ハノイの老舗カフェ「ザン・カフェ(Giang Cafe)」の創業者であるグエン・ザン氏が、カプチーノのふわふわのミルクフォームをなんとか再現できないかと考え、牛乳の代わりに手に入りやすかった卵黄と、ベトナムで広く使われていたコンデンスミルクを泡立てることを思いついた、というのが最も有名な説です。物資が不足する困難な時代に、人々の知恵と工夫が生み出した、まさに「必要は発明の母」を体現した飲み物なのです。

この偶然の産物が、驚くほど美味しく、栄養価も高いことから、瞬く間にハノイ市民の心をつかみました。戦争の傷跡が残る街で、この甘く濃厚な一杯は、人々にささやかな安らぎと活力を与える存在となったのです。2026年の現在も、発祥の地である「ザン・カフェ」は多くの地元民や観光客で賑わっており、エッグコーヒーの「聖地」としてその歴史を静かに物語っています。

なぜ今?ロンドンやNYのサードウェーブカフェで愛されるモダンな魅力

70年以上の歴史を持つエッグコーヒーが、なぜ今、ロンドンやニューヨーク、ソウルといった世界のトレンド発信地で再注目されているのでしょうか。その理由は、いくつかの現代的なカフェトレンドと見事に合致したからです。

第一に、 **モダン・エスニック・トレンド ** の流れがあります。サードウェーブコーヒー文化が成熟し、コーヒー豆の産地や抽出方法へのこだわりが一巡した今、世界のカフェシーンでは、各国の伝統的なコーヒー文化をモダンに再解釈する動きが活発になっています。その中で、ベトナムの独創的な エッグコーヒー は、新しさとノスタルジアを兼ね備えた魅力的な存在として、トレンドに敏感なバリスタやカフェオーナーたちの目に留まりました。

第二に、その 圧倒的なビジュアル です。カップからこぼれ落ちそうなほどこんもりと盛られたクリームと、コーヒーのダークな色合いが織りなす美しい二層のコントラストは、SNSとの相性が抜群です。テーブルに運ばれてきた瞬間に、誰もがスマートフォンを向けたくなるようなフォトジェニックな見た目が、ブームを加速させる大きな要因となっています。

そして最後に、 「スイーツ感覚」で楽しめる満足感 です。コーヒーでありながら、デザートとしての役割も十分に果たせるリッチな味わいは、一杯で二度美味しい体験を提供します。食後のデザートとして、あるいは午後のエネルギーチャージとして、従来のコーヒーとは異なるポジションを確立し、新しい顧客層を獲得しているのです。

おうちでハノイ気分!本格エッグコーヒーの簡単再現レシピ

専門的な器具がなくても、エッグコーヒーは意外と簡単に自宅で再現できます。週末のブランチや、ちょっと特別なコーヒータイムに、ぜひ挑戦してみてください。

材料(1杯分)

  • 卵黄: 1個分(新鮮なものをご用意ください)
  • コンデンスミルク: 大さじ2〜3杯(お好みの甘さに調整)
  • 濃いめに淹れた熱いコーヒー: 約100ml
  • (お好みで)バニラエッセンス: 1〜2滴

作り方

  1. **コーヒーを準備する: ** まず、濃いめのコーヒーを淹れます。ベトナム式の カフェ・フィン という器具があれば理想的ですが、なければフレンチプレスや、普段より豆の量を増やしたハンドドリップ、あるいは濃いめに溶かしたインスタントコーヒーでも十分に美味しく作れます。コーヒーは温めたカップに注いでおきましょう。
  2. 卵黄クリームを作る: 小さめのボウルに卵黄とコンデンスミルク、バニラエッセンスを入れます。ハンドミキサー(またはミルクフォーマーや泡立て器)を使って、全体が白っぽく、もったりとしたクリーム状になるまで、根気よく泡立てます。スプーンですくった時に、ゆっくりとリボンのように落ちるくらいが目安です。
  3. **仕上げる: ** 準備しておいたコーヒーの上に、泡立てた卵黄クリームをそっとスプーンで乗せれば完成です。ココアパウダーを軽く振りかけると、見た目もより本格的になります。 ポイント:
  • 卵黄クリームがうまく泡立たない場合は、ボウルの底を湯煎にかけながら泡立てると、温度が上がって泡立ちやすくなります。
  • コーヒー豆は、チョコレートやナッツのような風味を持つ、深煎りの ロブスタ種 を使うと、クリームの甘さに負けない力強い味わいになり、本場ハノイの味に近づきます。

魅惑のベトナム・コーヒーカルチャーを五感で楽しもう

エッグコーヒーは、単なるユニークなコーヒードリンクというだけではありません。それは、世界第2位のコーヒー生産国であるベトナムの、奥深く豊かなコーヒー文化への入り口です。

ベトナムでは、フランス統治時代にコーヒー栽培が広まりましたが、暑い気候で生乳の保存が難しかったことから、保存性の高い コンデンスミルク を加えるスタイルが定着しました。この甘くて濃厚なベトナムコーヒーをベースに、ヨーグルトを加えた「スアチュア・カフェ」や、ココナッツミルクと合わせた「ココナッツコーヒー」など、独創的なアレンジが数多く存在します。

エッグコーヒーを一杯味わうことは、ハノイの喧騒や、人々のクリエイティビティ、そしてコーヒーと共に流れるゆったりとした時間に思いを馳せる、小さな旅のような体験です。まずはこの「飲むカスタードプリン」から、まだ見ぬベトナムのコーヒーカルチャーの世界に、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

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